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マカオのグラフィック・デザイナーCkインタビュー

マカオのアートギャラリーOX WAREHOUSEが発行する冊子『牛杂(OX MAGAZINE)』※以下写真 のデザインが自由で面白い。その他にも、facebookから流れてくるマカオ発のデザインで素晴らしいと思うものはほとんど同じ人物によるデザインだった。近隣地域との差を埋めようと、マカオのインディペンデントアート・カルチャーシーンは勢いづく。そのシーンを担う存在になりつつある、24歳のマカオ在住グラフィック・デザイナーCkを知るためのインタビュー。彼は、文化芸術・デザインの懐深い台湾でデザインを学んだ。今は地元マカオで、マカオの人たちが見たことのなかったデザインを提案している。

 

 

 

Magazine design:Ck Chiwai Cheang 

http://somethingmoon.com/post/34763588128/oxmagazine02

 

──グラフィック・デザインを始めたきっかけは?


特にきっかけはないです。確か、子供の頃は落書きするのが大好きで、だから絵描きになりたいと思ってたのかな?わからないです。デザインするっていうことがどういうことなのかわかってなかったし(今もわかってないし)、たぶん、私は自分が美しいと思うものをつくる、ということが好きだった。台湾の大学に入学するまではそんな感じです。

 

──グラフィック・デザインを学校で学びましたか?

 

はい、台湾の大学でヴィジュアルコミュニケーションデザインを勉強しました。そして文化芸術の豊かな台湾が大好きです。

 

──デザインシーンでのマカオと台湾での違いは?マーケット、クライアントの数、クライアントの要求することなど、たくさんあると思うのですが。


まずは、マカオと台湾では紙の素材や形状が違うこと。これにはよく困らされます。マカオのマーケットは非常に小さい。なので印刷会社は、デザイナーにあらゆる選択肢を与えてくれません。あと、活字にも違いがあります。孤立したマカオのマーケットで、マカオ内のCD、広告、テレビ広告、本などのために作られたもの。なので台湾とは別ものなんです。

 

 


マカオのローカル・オルタナティブメディアAll About Macau
identity design/website design/logo, visual, website : Ck Chiwai Cheang 

http://somethingmoon.com/post/30245777478/aam-visual

 

──いつ台湾からマカオに戻ったんですか?台湾は、デザインをしたり学ぶにはアジアの中で最高の場所だと思います。書籍や雑誌、ポスターなどあらゆる美しいデザインがある台湾です。なぜ台湾からマカオに戻ることを選んだのでしょうか?

 

その通りです。台湾はデザインすることにおいて最高の場所です。2010年にマカオに戻りましたが、確かに、就労許可がおりていればマカオには戻らなかったでしょうね。

 

──台湾で、誰かデザイナーやアーティストの影響を受けましたか?

 

Wang ZhiHongさんのデザインが大好きです。彼のデザインはいつも私を驚かせますし、素晴らしい。
http://wangzhihong.com

 

──あなたはユニークなタイポグラフィやレイアウトで表現します。作品を見ていると、ブランディングや商業デザインと言うよりあなた個人のアート作品に思えます。ここで“グラフィック・デザイナー”と定義して紹介していいものかどうか。自分では、自分を“アーティスト”と思いますか?それとも“デザイナー”だと思いますか?

 

うーん、確かに私がしたいのはアートかもしれません。商業的なデザインは見ていて退屈かもしれませんし、この場にふさわしくないかもしれません…。私はマーケットが要求するものとアートの価値をうまく繋げる方法はないかと探しています。例えば、良いアート作品には良いクライアントとの協力が必要だったりします。私はとにかく私が思う美しいものを提示して、それをクライアントが気に入ってくれればいいなと。あと、“アーティスト”という言葉を私に当てはめるのは何かしっくり来ません。今まで自分がアーティストだと考えたことがありません。私に似合わない言葉ですね(笑)。アーティストであるよりもデザイナーでいたいと思います。

 

──良ければ、日常生活について教えてください。他のフィールドで仕事していますか?また、趣味は?


私はフリーランスのデザイナーです。これが私の大好きなことであり、自分のすべてでしょう。あと、MacBookよりバイクばかりの毎日。たまに新聞に寄稿したり、たまに写真を撮ったりしています。

 


Ckのflickr “ROOM”setより

 

──先日は写真展を開催したとのことですが、来訪者からの反応はどうでしたか?

 

儀礼的な感想が多かったですね。

 

──それはまるで日本のような…(笑)。日本では表現の場で、社交辞令のような感想が多いことが残念です。個々それぞれ独自の感想が来訪者から得られないことが多いように思います。しかし、私は日本以外のアジアで、若い人たちが情熱をもってアーティストに自分の意見を伝えたり言及したりするところを見てきました。予想するに、マカオの人たちはまだそういった場に慣れていない?


たぶん、大半の人が私が言いたかったことを読めなかったんだと思います。私もそこに気を遣えませんでした。そしてこれは実験的な展示でしたし、コンセプトはちょっと私的なものだったと思います。短時間で理解することは難しいです。中国のことわざで、「內行看門道,外行看熱鬧」(laymen watch for fun while the profession look for the knack of it.)という言葉があります。文化や芸術の性質とは、ゆっくり育っていくものです。

 

 

 

Ck’s photobook 『if you please, take me a picture』 released at his exhibition.

──マカオのアート・カルチャーについて思うことはありますか?近隣の地域と比べて違いは?


例えると、マカオはまだアート・カルチャーにおいては子供なんです。素晴らしい歴史を持つ場所ですが、これをどう生かせるのかを知らない。マカオの人たちが美的感覚を研ぎすまし成長していくことを期待しています。近隣の地域と比較するのは難しいですね。マカオではまだ何も始まっていません。

 


マカオの古い街並を懐古する展示“a place to witness times”のポスター
exhibition design (poster/backdrop):Ck Chiwai Cheang

http://somethingmoon.com/post/38849758019/aplacetowitnesstimes

 

──以前、Pinto Livros&MusicaのAnsonにマカオの社会状況について聞いたことがあります。マカオの社会状況について、何か意見はありますか?


説明するにはとても時間がかかってしまいますね。台湾からマカオに帰ってきてからは、社会問題に関連するアクションにはいつも参加するようにしています。ここ数年のマカオの状況には失望したり何か違和感を感じることが多い。これ以上マカオのことを理解することができないんじゃないかと思うぐらいに……。

 

──では最後に。日本の人がマカオに訪れたとしたら、どこに訪れるべきでしょうか?オススメの場所はありますか?

 

もちろん、マカオの文化遺産ですね。小さなヨーロッパのようであり、素晴らしい建造物があり、中国と西洋のテイストが混じり合っています。数少ない、マカオの人たちが誇っているもののひとつです。

 

Ck Chiwai Cheang PROFILE
グラフィックデザイナー。マカオ在住、ときには台湾とマカオを行き来する。


graphic designer, based in Macau and sometime live between Taiwan and Macau. suddenly founded the design studio on the beginning of 2011, worked visual communication design at anywhere and anytime can bring my macbookpro, and plz forgive I’m always think too much, you can found a toy camera boy while go walking, full of hope and desire for everything unknown. areas of work book and cover, poster, branding, brand identity, exhibition, print design, publishing, packaging design, mutimedia and web design.
http://somethingmoon.com
https://www.facebook.com/somethingmoon