数ヶ月前にTumblr上で何度もリブログされた『TYPE – 字体』。
漢字と英字がGIFアニメの回転により移り変わり、Offshoreとしてはとても興味の湧く作品。どうしても気になるので、いったい誰が作ったのか、直接facebookでコンタクトを取って聞いてみた。
この作品は中国美術学院に通う2人の留学生、Andreyさん(ロシア出身)とMueiさん(日本出身)によってホームワークの一環として作られたもの。中国杭州で生活し学ぶ2人の外国人が普段から気になっていたアルファベットと漢字の違いと共通点。特に、中国系日本人のMueiさんが最後に語ってくれた、“やっぱり、やりたい事があれば、まず行動を起こす事ってすごく大事だと思っています。”という言葉が響く。
日本には中国の“非”自由を伝える情報がたくさん入ってくるが、私が以前個人のブログでも書いたように、自由であるかどうかは当の本人に委ねられる。それにも繋がるような彼らの答え。未来の中国アートシーンに希望を見た。Andreyさん、Mueiさん、ありがとう。
You remember this GIF animation if you’re addicted to Tumblr. That post has rebloged more than 1,000 times. I found it on Tumblr and really wanted to know who is making, what are makers thinking. So I approached to them on Facebook. It’ s made by two students in China Academy of Arts, Andrey and Muei. They are both from foreign county, Andrey is from Russia, Muei is from Japan. Their experiences between European typo and Chinese(Japanese) typo have expressed through 3D printer.
まず、学校に、あの魔法のような3Dプリンタがあって、それを先生にサポートしてもらいながら使えるらしい、という情報を仕入れたんです。私はその頃、Markus Raetzの『Yes-No』という彫刻作品に非常に感化されていました。ちょうどその時、二次元での印刷やweb上のプロジェクトに少し飽きていたからかもしれません。そんなことから、次の自分のプロジェクトは、何か3Dプリンタを利用してできるものを、と決めていました。
この『TYPE – 字体』をなぜ作ったのか。それは、面白かったから!それしかありません。自分にとって新しいメディアでモノを作れること、そしてそれがコンピュータ上から三次元の物体になるということ!それは本当に面白い経験でした。私はこの制作過程を非常に楽しみましたし、学校でのホームワークとしても、このプロジェクトはぴったりだったと思います。私は中国語をもう5年間勉強しています。勉強し始めたときは、中国の文字と西洋の文字は完全に違うものだと思っていました。でも、見方を変えれば、この異なる2種の文字の目的は完全に一致しています。つまりは“伝える”ということです。
ちょうど”TYPE”という文字と”字体”という文字が見る角度で移り変わるように、いかにこの異なる言語を、徐々に自分の目前で繋げ発展させていくか。これが私がこの『TYPE – 字体』プロジェクトで見せたかったことです。
実を言うと、最近は日本と台湾の様々なプロジェクト・作品などから学んでいることが多く、近々訪れることができればいいなと思っています。アジアのデザイナーでは原研哉さんの作品に感銘を受けました。仏教の考えのようなものをうまく作品に融合させている彼の作品が好きです。
First, I got to know that there is this magic 3D printer in our school, which we can use with a help of our teacher. I was really into the works of Markus Raetz (especially his Yes-No piece) during that period of time, maybe because I was a bit tired of doing printing/web-based projects only, so ,anyway, I decided that my next project will be something that I can do with the use of the 3D printer.
“why did you start this awesome project?”
Because it’s fun! It was really fun for me to explore the new media and to see how something that was made on a computer becoming real and 3 dimensional. I enjoyed the process a lot. We had homework at the academy and this project suited the task. Besides, I’ve been studying Chinese language for 5 years already and at first glance the difference between any western language and Chinese is so huge but on the other hand their purpose is totally the same – to communicate. That’s what I also wanted to show in this piece and how the meaning of the characters gradually expands in front of my eyes, just like the transition between TYPE to 字体.
To tell you the truth, the things I expected to see and learn from are now mostly in Japan or Taiwan. These are the countries I’m planning to visit in the nearest future.
From the аsian artist/designers I really admire Kenya Hara. I like how he combines some principles of Buddhism in his works.
Andrey Danilov
http://www.andreydanilov.com
「字体で何か新しい事を」という大学の課題があり、その時一緒にチームを組んでいた同じ留学生のアンドレイ君と、いつもと少し変わったプロジェクトを考えていました。私たちは共に中国では留学生であり、一歩自分の国の外にでると違う角度からモノを見る機会が多いです。違う視点から観察した時、それは全く違う見え方になる事があると体感しています。その「違う視点から同じ物体を見た時」を表現したのが今回の作品です。やはりグラフィックを専攻している私たちは、なかなか踏み込むチャンスが無かった立体に興味を引かれていた事は二人とも共通していました。実際、立体で表現するにあたり紙で作るのか粘度で作るのかと方法に頭を悩ませていました。そんな時に、アンドレイ君が学校に3Dプリンタがあるとの情報を仕入れてきました。「テレビでしか見た事がないし、それを担当の先生も知らないって本当かな」と疑いながらも、足を運ぶと本当にあってしかも使える状態だったのですから、学校に感謝の一言です。私の学校には“あと一本だけ線が足りてないから使えない高価な写真フィルムスキャナー”や“鍵を無くして入れなくなった写真スタジオ”があるのですから、私の疑いの気持ちもお察しできるのではないかと思います。こうして今回のプロジェクトを何とか実現までに結びつけたのです。
私が思う、中国でアート・デザインをする魅力は「ここでは学生でも行動すれば、実現の可能性が見えてくる」所だと思っています。実際学生にとってアート・デザインでの制作費って本当に高くてなかなか出来ない、数が少ないとなかなか業者さんにも頼めなかったりしますよね。でも中国では今回のプロジュエクトの実現にもあった様に、探すと方法が必ずあります。今回はたまたま学校内で実現に結びつけたのですが、外の業者でも、それが費用も含め学生にも手が届く範囲内であるというのが一番の魅力なのではないでしょうか。私は高校の時、自分に中国系の血がある事も理由に中国語や社会についてもっと深く知りたいと思って中国への留学を決意したのですが、やっぱり、やりたい事があれば、まず行動を起こす事ってすごく大事だと思っています。
徐夢影 Muei Jo
中国美術学院