シンガポールの大きな音楽フェスティバルMosaic Music Festivalは3月9日〜3月18日の10日間行なわれた。音楽フェスと言ってもそのジャンルは多種多様。まさに多民族国家シンガポール。ジャズやワールド、ロック、フォーク、様々な音を奏でるのは、様々な国からやってきたアーティスト達。今回、タイからはDesktop Errorが出演。Desktop Errorはタイ・バンコクを拠点に活動するシューゲイザー・ポストロック風のバンドで(ここで何故「風」という言葉を使うのかは、このインタビュー記事を読んでいただければご理解頂けると思う。)、西洋のロックに慣れ親しんだ人に驚きと新鮮さを与えるコード展開、メロディが特徴だ。Desktop Error初シンガポールライブの様子、そしてDesktop Error初の日本語インタビュー記事をお届けする。
なお、今回はDesktop Errorの所属するバンコク発の音楽レーベル、SO::ON Dry Flowerのマネージャー、清水宏一さんに通訳を担当していただきました。
Desktop Error http://www.facebook.com/DesktopError
Desktop Error
Lek Kongphaibun (Guitar, Vocal)
Adisak Poung-ok (Phin, Guitar, Keyboard, Vocal)
Wuttipong Leetrakul (Guitar, Keyboard, Vocal)
Chanarong Jamkow (Bass)
Phatharhaphon Thongsuka (Drum)
Discography…
1st Full Album『Ticket to Home』
1st DVD『SONGS FROM HOME』
released by SO::ON Dry Flower
SO::ON Dry FLOWER http://www.sodf.tumblr.com
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“SONGS FROM HOME” Desktop Error 1st DVD release party
24th Mar, Sat 2012 8pm at SOL Space Free entrance http://www.facebook.com/events/307157866015695/
“SONGS FROM HOME”
Desktop Error 1st DVD release party with a special acoustic live by Desktop Error and Into The Air. DVD will be available at the venue with special price!
“SONGS FROM HOME” Desktop Error 1st DVDのリリースパーティーが3/24にバンコクSOL Spaceにて行なわれます。
──まずは日本にはDesktop Errorを知らない人が多いんで、音楽的なところも含めて聞かせていただきたいと思います。結成したのはいつですか?
Desktop Error(以下、D): 2005年です。
──じゃあもう歴史が長いんですね。7年ぐらいですか。ちなみに今おいくつなんですか?
D: ボーカルは30歳で、あとはみんな25〜26歳ぐらいですね。
──結成したきっかけは?
D: 17~18歳の頃に、一部のメンバーが出会ってジャムとかをし始めて、大学のときにボーカル以外の4人が揃いました。ボーカルはメンバーの先輩で知り合ったという感じです。
──学校のときにバンドを組むというのはタイでもその当時ポピュラーだったんですか?
D: そうですね、みんな普通にバンド組んでましたね。当時はまだカバーバンドでしたが。
──オリジナルを作り出したのは何年ぐらい前ですか?
D: バンドを組んだ当初から少しずつ曲を書いてましたが、2006年ぐらいから本格的にオリジナルを作るようになりました。昔レストランのようなライブハウスでRADIOHEADなどのカバーをして毎週演奏していました。
──みなさん昔どんな音楽を聴いていましたか?影響された音楽などあれば教えて下さい。
D: Pinkfloyd, RADIOHEAD, THE STONE ROSES, MY BLOODY VALANTINE, Nirvanaなどなど……。グランジとかシューゲイズを主に聴いていました。
──Desktop Errorの音楽って、その感覚ともまたまったく違う感覚がプラスされていますよね。
D: 影響は受けてるけど自分たちの曲にするときは、少しずついろんなテイストを持ってきて、ごちゃまぜにして、という感じでやっています。あとタイのイサーン地方のギター“Phin”も入れてますしね。
──イサーン出身の人は?
D: ボーカルのLekはイサーン出身です。GtのAdisakも両親がイサーン出身ですね。
──イサーンの楽器を入れようと思ったのは、自分のアイデンティティを意識してのことですか?
D: そうですね。タイのアイデンティティだけど、思いっきりタイの雰囲気にならないように、うまくブレンドさせて、コンテンポラリな感じになるようにアレンジしてます。
清水: 僕の意見で、彼らの楽曲のオリジナリティについて少し補足させてもらうと、日本の人たちって徹底的に追求する人が多いですよね。でも、タイのバンドって、良い意味で深追いしない人が多いんです。あのアーティストはこういうエフェクター、こういうコード使ってる、っていうのをなんとなく取り入れて、「こういう感じかな~?」といった具合に。あとは自分で好きなようにやっちゃうんです。シューゲイザーって言ってて全然シューゲイザーっぽくないバンドがいても、それはそれでいいですよね。
──確かにそうですね。Desktop Errorのオリジナリティにはそういう背景もあるんですね。では、Desktop Errorの歌詞に関して聞きたいのですが、私はタイ語がまったくわからないんです。どういうことを歌ってるんですか?
D: 人生ですね(笑)。 ストレートなラブソングとかはあまり書かないです。もっと内側、人の内面を書いています。あとはみんなを励ましたり元気づけられるようなことを歌詞で書いています。
Desktop Errorが出演したステージ。
外の無料ステージで、あらゆる人が通りかかる。
──歌詞はボーカルのLekさんが書いてるんですか?
D: みんなで書きますね。アルバムの収録曲も全員が書いてます。
──英語で書こうと思うことはありますか?
D: 英語しゃべれないんで…。みんなバカだから(笑)。
──では曲は、誰が普段作っているんですか?
D: それも、元となるピースはメンバーそれぞれからアイディアが出てきて、持ってきた人がそのコンセプトを説明して、そこからみんなでジャムで作っていくという感じです。
──そのコンセプトって具体的にどういうものなんですか?
D: 人生かな。
──人生(笑)。
D: 何かを探してたりする感じですかね。新曲では、仏教の教えを自分たちなりに解釈して表しています。
──やっぱりみんな仏教なんですね。
D: そうです、みんな仏教です。特にドラムのPhatharhaphonは結構真剣な仏教徒ですね。
──今、ライブはどれぐらいの活動ペースですか?
D: 月に2回ぐらいのライブです。日本でライブがやりたいんです!ライブ以外にも、練習は週1回ぐらいやってますね。
──日本でライブ、実現させたいですね!では、日本でライブすること以外に、Desktop Errorで今後どういう展開を考えていますか?
D: 一番は続けていくことです。アルバムを作り続けたいです。できればタイ国内だけでもいいんで、ツアーがしたいです。それを広げていって、いつかアジアツアーもできればいいですね。
──タイ国内のツアーは、今は現実的ではないんですか?
D: タイではまだ、インディーズ音楽というカルチャーがバンコクにしかないんです。大きい大学がある都市、例えばチェンマイとかコンケーンではインディーズを聴く人もいますが、とても小さいグループですね。インディーズのバンドでツアーをするというのはまだ少し難しい状況なんです。
──なるほど。タイツアー、日本でのライブと実現するように私もどんどんDesktop Errorを広めていきます。よろしければ、今日のMosaic Music Festへの意気込みを聞かせて下さい!
D: Mosaic Music Festival 2012の出演者のなかで、タイのアーティストは僕たちだけです。なので、タイを代表して精一杯やります!お客さんに印象づけるライブにしたいと思います。
3月12日、2ステージのライブを行なったDesktop Error。1回目と2回目の間が1時間弱しかなかったが、その間に腹ごしらえとビールで、少ない時間を有効に使おうと大急ぎで屋台に並んだり食べたりする彼らは無邪気だった。また、メンバー同士も非常に仲良し。 その腹ごしらえのあとに行なった2回目のライブでは、メンバー全員が緊張を解き、すっきりとした表情をしていて、見ている私たちも気持ちの良い大音量のライブを見せてくれた。最前列にタイの若者たちが座っていて、たった10人弱ではあったけれど、彼らはDesktop Errorの曲をよく知っていて、イントロで声援をあげる。彼らの声もライブを盛り上げていた。
ライブ終了後、たくさんの人に囲まれサインや写真に応えるメンバーたち。 タイの独特なセンスの詰まった音を聴かせてくれるDesktop Error。今のところ日本で聴くことができる機会はないが、もし、タイへ旅行へ行く際には、彼らのライブスケジュールをチェックしてみてほしい。